横浜港の山下埠頭に誘致しようとしているIRというのは、宿泊施設や商業施設を伴う複合型施設のことですが、結局のところ、カジノによる収益が大半です。横浜市はそのカジノ収益による税収確保を主な目的としています。また、それによって利益を得る内外の利権者(周辺の基盤整備や複合施設の建設などで利益を得る)への便宜も目的と言われています。また地元の経済界は周辺に経済効果が出ることを期待しています。
カジノは、地元横浜のために、といいながら地元住民である横浜市民のために作るものではありません。カジノの収益はその大部分が海外に持って行かれる可能性が高いです。むしろ、地元住民はカジノの顧客になります。カジノ側が収益を上げると言うことはカジノの顧客が損をすると言うことです。また、カジノにより生じるデメリット(治安の不安、ギャンブル依存症、住居環境の悪化、地域のブランド崩落)は横浜市に住む近隣住民ほど大きくなります。
現在の増収予測値はカジノ事業者の試算によるものですが、横浜市は現実的かどうかを検証していません。その額は、年間1200億円とも言われていますが、横浜市の得ている法人税の合計額より遙かに大きな数字です。そのような税収をカジノ事業に頼ると今後とも横浜市政は、カジノ事業に依存したものになる可能性があります。カジノは賭博行為です。ギャンブルで得たお金で横浜市を支えていくというのが、市民の本当の幸せにつながるのでしょうか?
いいえ。カジノがインバウンド(外国人観光客)対策というのは実は正しくありません。カジノ事業者の予測ではカジノの顧客の大部分は日本人で、あまり外国人観光客は当てにしていません。カジノ事業者がこの時期になぜ勧誘に熱心なのかは日本にカジノがないからで、日本に住む市民の財産を当てにしているからなのです。
横浜市の税金収入やごく目先の経済効果のことだけを考えるのが未来を考えることではありません。ギャンブル依存症や治安への不安といった負の面を考えると、カジノ施設の運営はこれから市民生活に大きな影響が出る可能性があります。これからの横浜市がどのような将来をイメージし、カジノを中心とした事業を展開していくのか、それにより、これまで培ってきた横浜の観光地としてのイメージがどうなるのか、市民目線で考えなければなりません。
重大な決断を横浜市民の民意に問わずに進めていってよいとは思えません。市民の声を聞くように行政に訴えかけ、また場合によっては市民の力を行使して政治家を変えなければならない場面が出てくるかもしれません。市民一人一人が具体的な行動に出るべきです。